【シルク製版】スクリーン紗の種類(特徴、規格)について

以前、スクリーン印刷版の紗について当ブログで軽く触れました。
今回は、弊社で取り扱っている紗を中心に紗の性質や規格など紹介します。
スクリーンメッシュ写真

材質(ポリエステル・ナイロン)

今でもシルクスクリーン印刷と呼ばれることが多いですが、今は絹ではほとんど製版しておりません。弊社ではポリエステル(※テトロン)紗が主流で、用途に応じてナイロン紗を使用しております。
ナイロン紗はポリエステル紗より伸長性があり寸法精度は良くありませんが、印刷面に密着しやすいため、凹凸面がある印刷に多く使用されております。
寸法精度をもとめられるプリント基板では、ステンレススクリーンが用いられておりますが、弊社では取り扱いしておりません。

※テトロン紗と呼んでいる方(事業所)もいらっしゃいます。”テトロン”とはポリエステル繊維の商標で、ポリエステル(繊維)の別称です。

糸(複糸・単糸)

織り糸にも、複数の糸を撚ってできた糸(複糸)で織っているマルチ紗と(針金のような)一本の糸(単糸)で織られたモノ紗があります。

一般的には、マルチ紗に比べ、モノ紗の方が一本の糸なのでインキの通りがよく、詰まりづらいとされております。また伸長性もモノ紗のほうが安定しています。

薄い生地などはにじみやすいので、インキ付着量を抑えるためにマルチ紗を使用することもあります。

規格(メッシュ・線径・開口率…などなど)

柄を形成の出来るだけの紗の密度があるか、適度なインクの転移量など、紗の規格から適切な紗を選びます。その規格(単位)について説明いたします。

織組織拡大図メッシュ(数)…紗の織組織は主に平織りで、糸と糸との間隔を表す単位です。1インチの中に何本打ち込まれているで紗の細かさを表しております。1インチ=25.4ミリです。

線径…糸の太さを表します。単位はμm(ミクロン)です。1ミクロン=1000ミリです。

開口率(オープニングエリア)オープニングは紗の孔の寸法です。ミクロン単位で式にあらわすと、オープニング=25400μm÷メッシュ数-線径となります。
※同じメッシュであっても糸(線径)が太ければ、オープニングは小さくなり、細ければオープリングは広がります。
糸を含んだ寸法からどのくらいの率で孔が開いているか率で表したものが、開口率になります。開口率=(オープニング)^2÷(オープニング+線径)^2

紗厚糸と糸の交わった箇所の厚み(μm)です。紗厚は糸が交差した高さになるので線径の2倍に近くなります。紗厚については各メッシュメーカーのカタログ等をご参照ください。
オープニングの面積に紗厚(高さ)を掛けることで転移量がでますが、これはあくまで目安です。

お気軽にご相談ください

紗の選定は印刷再現性の良し悪しはもちろん印刷作業の効率にも関係してきます。
以前、紗の糸を太くして版の耐久性をあげたいという要望があり、線径が太くなる分メッシュカウントを下げて製版する事例や、濃色地のTシャツプリントでインキをもう少しのせたいとのことと、インク詰まりを減らしたいとのことで、同メッシュで線径の細いもので製版いたしました。紗の性質や規格を知ることで、上記のように最適な版を製版することができます。

スクリーン紗はこちらで購入できます

ポリエステルモノ紗の36メッシュから380メッシュは、こちらでカット売りしております。
ぜひご利用くださいませ。

横山工藝オンラインストア
https://store.ykougei.jp/

また、弊社には様々なメッシュや線径の紗を在庫しております。紗の選定でなにかお困りなことなどがありましたら、お気軽にご相談くださいませ。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

コメント

  1. 見目 より:

    版の素材でナイロンとテトロンのそれぞれの特徴がしりたいです。メリット、デメリットが知りたいです!目の細かさの特徴も知りたいです!270から330までを主に使っています。

    • 横山和也 より:

      当ブログをご覧いただきありがとうございます。

      ・ナイロン紗とテトロン紗の特徴について、、、
      特性の大きな違いは紗の伸長度にあると思います。
      一般的な紗張りにおいて、おおよそナイロンは5~8.5%ほど伸長するのに対してテトロンは3~5.5%ほど伸長いたします。
      このことからナイロンは曲面印刷や成形品等公差を求められない印刷テトロンはある程度寸法精度を求められる印刷に使い分けしています。
      またナイロンの特徴として、テトロンに比べて耐酸性が低いので強膜加工はできません。

      ・メッシュカウントの特徴は目の細かさしかないのですが、、、
      使い分けの参考として弊社では大まかに250~270メッシュはプラスティックの案内板等(ギザの目立ち加減や隠蔽性で調整)
      300メッシュ以上は品質表示印刷(ケース、タグ等)、UVインキ印刷で主に使用しております。

  2. 桑原裕次 より:

    お世話になります。

    250~200メッシュで印刷膜厚を上げたいと思っています。
    紗厚を上げると印刷膜厚が上がると思いますが、
    紗厚の厚いメッシュは有りませんか。

    それか、印刷膜厚を上げる方法があれば、教えて下さい。

    • 横山和也 より:

      コメントいただきありがとうございます。

      紗厚の件ですが、弊社で在庫している紗では下記の通り紗厚は1種類のみです。
      (数値はカタログデータです)

      • 200メッシュ(線径48μm、紗厚73μm)
      • 225メッシュ(線径40μm、紗厚59μm)
      • 250メッシュ(線径40μm、紗厚59μm)

      紗厚以外で印刷膜厚を上げるには、

      • スキージの摺動回数を増やす。
      • 印刷工程(印刷+乾燥)を繰り返す
      • スクリーン版の膜厚を上げる
        (直接法→感光乳剤塗布回数を増やす)

      という方法が考えられます。